12.11大阪市教委との「協議」報告

1211日の「放射線教育」に関わる大阪市教委との協議は、19人の参加の下、市教委に対する追及を行うことができました。

参加いただいたみなさま、たいへんありがとうございました。

 

市教委の回答は、「関西原子力懇談会と放射線教育普及連携プロジェクトの関係に減給する必要はない」「『100mSv以下の低線量被ばくの発がんリスクが飲酒や運動不足よりも小さい』とする『放射線教育サポートシステム』のワークシートは専門家の知見にもとづいて作成されたもの」など、まったくの居直り回答でした。

 

私たちは、これらの回答が今までの「協議」で表明してきた市教委の立場からも後退していることを指摘し、追及しました。

また、私たちが何度も意見表明してきたにもかかわらず、文部科学省に対して、副読本や教職員セミナー、出前授業の内容について、原発事故と放射能・放射線被ばくの危険性をきちんと教える内容にしてほしいとの要望を伝えていないことが問題だと指摘し、行動を迫りました。

 

市教委が唯一やろうと思っていると言ったことは、「放射線教育」に関わる教育現場の実態調査でした。

私たちは、「『放射線教育』という枠組み自身がおかしい」「『学習指導要領に規定されているから』という理由で実施する学習のあり方自身が問われている」「たいへんな原発事故が起きてしまったという現実に向き合い、被害の実態、放射能汚染の現実、被ばくの危険性を伝える、命を守るという立場に立った教育こそが求められている」と指摘し、そのための行動を要求しました。

 

論点と目標を明確にした進行ができなかったので、少し散漫な追及になってしまいましたが、多くのみなさんの発言により、調査の進め方、研修会の持ち方や新放射線副読本の扱いなどについて、今後、コミットしていける手がかりを得ることができました。

 

ありがとうございました。

 

なお、この「協議」の模様を中継いただいた方があり、その中継をもとに、論議の内容をまとめ、音声も聞ける形でブログにアップしていただいた方がありますので、紹介させてもらいます。

 

ブログ「細々と彫りつける」

http://d.hatena.ne.jp/ishikawa-kz/20131212/1386832814

 

今後、子ども大阪ネット学校教育関係部会では、原発事故と放射能汚染に関して、どんな事実を伝え、何を考えあう学習が求められているのか、検討しあう場を作っていきたいと思います。(第1回予定 1月5日【日】午後1:00~ 玉造のコミュニティハウス「ポポロ」)近々、呼びかけを発信させてもらおうと思います。

 

12月11日の「協議」は3か月ごとに行われている関西ワンデイアクションの一環でした。ワンデイアクションを節として、大阪市教委への行動を継続してきたことが力になっていると思います。

 

12月15日(日)には、そんな運動を集めて反原発西日本集会が行われます。紹介させてもらいます。

 

日時:12月15日(日)13時30分~17時エルおおさか南ホール

13:15開場・受付)京阪・地下鉄谷町線「天満橋」駅徒歩10分

参加協力費500円

 

詳しくは、zenko関西のブログ

http://zenkopeace.blog.so-net.ne.jp/

 

 

☆10月16日大阪市中学校教育研究会理科部研究発表会で、関原懇の教育介入批判表明を求めました。

以下の文書を10月16日の大阪市中学校教育研究会理科部研究大会参加者に配布し、関西原子力懇談会に対して教育介入批判の態度を明らかにするよう求める発言をしました。その場では、この意見表明の扱いについての発言は何もありませんでしたが、今後とも態度表明を求め続けたいと思います。

 

大阪市中学校教育研究会理科部のみなさまへ

20131016日 友渕中学校理科教員 松田幹雄

 

 私は、今年の大阪市中学校教育研究会理科部研究大会に向けて、理科部長にあてた「放射線教育サポートシステム」への批判表明を求める要請書(右ページおよび裏面)を出させてもらいました。

 

 文科省「放射線副読本」や「放射線に関する教育職員セミナー」「放射線に関する出前授業」などで強調されている「100mSv以下の低線量被ばくでは健康影響はほとんどみられない」という主張は、チェルノブイリ原発事故後のはっきりした健康悪化に対して、「放射線被ばくが原因であるとは科学的に確認されていない」と強弁して、核大国と原子力産業の利益のために動いている国際原子力ロビーがつくりあげてきた主張です。私たちは、誰のために、何のために、働くのかもう一度問い直す必要があると思います。

 

 その後のプリントに、「放射線教育サポートシステム」が、原子力産業の発展を目的とする関西原子力懇談会の組織目標に沿った事業であることにかかわるいくつかの資料を載せています。

 

 ・関西原子力懇談会ホームページ(放射線教育サポートシステム紹介1-

・関西原子力懇談会ホームページ(放射線教育サポートシステム紹介1-

・「放射線教育サポートシステム」セミナー等で渡されるワークシート 2-

・「放射線教育サポートシステム」セミナー等で渡されるワークシート 2-

・関西原子力懇談会の規約と事業報告から抜粋 3-

・大阪市教委あて「放射線教育」に関わる「要請と質問」3-

・近畿大学原子力研究所宿泊研修会に対する質問(2013.5.28)と回答(7.18)4-

・近大宿泊研修会の実施要項と予算書(関原懇の文科省後援申請書から)4-

 

   大阪市教委あて「放射線教育」に関わる「要請と質問」にかかわる回答送付1018日の予定で、市教委ホームページへのアップは1025日予定となっています。

 

 15万人が故郷を離れざるを得なかった福島第1原発の大事故、健康被害が懸念される放射能汚染現実に向き合う教育のあり方を模索していくべきだと思います。私の要請書に対するご意見をお願いします。

 

☆「放射線教育サポートシステム」への批判表明を求める要請書~大阪市中学校教育研究会理科部長様~

2013106

大阪市中学校教育研究会理科部長

淀川中学校長 長谷川輝臣様

大阪市立友渕中学校理科教員 松田幹雄

 

「放射線教育サポートシステム」への批判表明を求める要請書

 

  中学校理科教育推進のご努力に敬意を表します。

 

私は、昨年1017日に行われた大阪市中学校教育研究会理科部研究発表会の場で、「大阪市中学校教育研究会理科部役員のみなさまへ」「放射線知識普及連携プロジェクトが実施する『放射線教育サポートシステム』への対応についての意見」という文書を参加された皆様に配布し、「中学校教育研究会理科部として『放射線教育サポートシステム』への批判表明をすべき」との意見を述べさせてもらいました。次の日(1018日)、「意見書についての見解表明のお願い」の文書を理科部長あてに送らせてもらい、「検討している」ということでしたが、理科部としての「批判表明」に至っていません。

国際的な原子力ムラの隠ぺい工作にもかかわらず、チェルノブイリや福島の健康被害の実態が明らかになってきています。2364538人の被災者データをもとにしたウクライナ政府報告書(NHK出版「低線量地域からの報告」)、約1000本の文献リスト、スラブ系言語で書かれた5000以上の印刷物をもとにウクライナ・ベラルーシ・ロシアの研究者によって書かれた「調査報告 チェルノブイリ被害の全貌」(岩波書店)、「児童生徒の生命・身体・健康について由々しい事態の進行が懸念される」とした「ふくしま集団疎開裁判」仙台高裁判決(2013424日)などです。そして、福島の子どもたちの甲状腺がんの多発です。この間、福島県民健康管理調査の子どもの甲状腺検査で、176648人の一次検査が終わった段階で、「がん、または強いがんの疑い」により、44人の子どもたちが手術を受ける(19人は手術済み、そのうち18人が甲状腺がんだった)ことが、820日に発表されました。1年間に100万人に1~2人の発見率といわれていた子どもの甲状腺がんの多発はもはや隠しようのない状況です。このような中で、「放射能・放射線の健康被害については何ら心配することはない」と宣伝する「放射線サポートシステム」を容認しつづけることは許されないと考えます。

原子力ムラ・関西電力のお金で運営される「放射線教育サポートシステム」を利用すれば、原子力ムラの利益のための教育をしているのではないかという保護者・市民の疑惑に対する説明責任が、私たちの側にも生ずることを自覚しなければならないと思います。また、5月末には、「放射線の危険性と、子どもが被曝に対して感受性が高いという事実について、学校教材等で正確な情報を提供すること」という項目を含む、アナンド・グローバー健康の権利特別報告者の勧告が国連人権理事会に提出されていることも付記しておきます。

 

以下に、再度、私が問題にしている点をまとめて記載し、改めて、大阪市中学校教育研究会理科部として「放射線教育サポートシステム」批判の見解を表明することを求めます。

 

 「放射線知識普及連携プロジェクト」という団体が「放射線教育サポートシステム」という事業を関西24県と福井県の中学校を対象に実施しています。

 

「放射線知識普及連携プロジェクト」は、活動趣意書によると、「福島第一原子力発電所事故を契機に、関西地域の原子力関係の学会・大学・団体の有志が連携して、幅広い層に対し、放射線に関する疑問や不安に応えるとともに、放射線の基礎知識や正しい情報を伝えていくことを目的に設立した」とされていますが、事務局は原子力産業の発展に寄与することを目的とする関西原子力懇談会という関西電力の関係組織です。関西原子力懇談会の事業報告には、「放射線知識普及連携プロジェクト」は、原発事故で原発推進への逆風が強まる状況の中で、関西原子力懇談会が立ち上げた組織であることが明記されています。関西原子力懇談会は、1956年、日本原子力産業会議の関西地方組織として設立され、現在の会長が西原英晃氏であることがホームページで公開されていますが、役員、会員とも非公開としている組織です。「放射線教育サポートシステム」について紹介しているのは、関西原子力懇談会のホームページだけあり、申込から実施までのすべての事務は、関西原子力懇談会が行っていることから見ても、「放射線教育サポートシステム」の運営主体が関西原子力懇談会であることは明らかです。

 

 「放射線教育サポートシステム」の事業内容は、以下、1~9です。

1. 教職員向けガイドブック「生徒と一緒に考える放射線」の提供

2. 実習DVD 「生徒と一緒に考える放射線(実習編)」、ワークシートの提供

3. 簡易放射線測定器の貸出(ガンマくん、ベータちゃん)

4. ペルチェ型霧箱の貸出 ※

5. 霧箱実験キットの提供 ※

6. 講師の派遣 ※

7. 教職員向けのセミナーの実施 ※

8. 放射線解説DVDの貸出

9. システム利用者に対する技術的サポート

 「『5の霧箱実験キット』以外の器材の提供、発送、講師派遣等は、放射線知識普及連携プロジェクトが負担いたします」とされ、かなりの運営資金を要していると考えられます。

「サポートシステム」の「教職員むけセミナー」では、「放射線知識普及連携プロジェクト」作成の学習指導案とワークシートが渡されますが、「放射線には怖いというイメージがあるが、身近なところ、自然界にもあり、便利なもので、そんなに怖がる必要はない」「がんなどの病気は、喫煙、飲酒、運動不足など多くの原因があり、100mSv以下の被曝ではほとんど影響がない」ということを刷り込むことにその学習目的があることが一目瞭然でわかるものです。「放射線教育サポートシステム」の「正しく怖がる必要」というキャッチフレーズ自身が、「100mSv以下の低線量被曝を怖がることは正しくない」という価値観を含んでいて認められるものではありません。

 

 福島原発事故に直面し、私は、原子力安全神話に手を貸していなかったかと自らを問い返さざるをえませんでした。事故をもたらした構造が問題とされ、原子力ムラとの関係を厳しく見つめ直すことが求められていると思っています。

 

私は、この「放射線教育サポートシステム」の運営資金が関西電力を中心とする原子力ムラ・関西原子力懇談会から出ていて、その事業目的が、原発事故の影響を子どもたち・国民の目から隠し、原発推進の基盤をつくることにあることは明らかであると考えます。

 

私は、大阪市中学校教育研究会理科部として、原子力ムラの教育介入事業「放射線教育サポートシステム」への批判見解を表明することを求めます。

 

 なお、私は、大阪市の中学校理科教員のみなさんにこの要請書への賛同を呼びかけています。賛同が寄せられればお伝えします。

 

 また、市民団体「放射能から子どもたちを守る大阪ネットワーク」が、911日に大阪市教育委員会あてに提出した「『放射線教育』に関わる質問と要請を添付しておきます。

 

 1016日の大阪市中学校理科教育研究発表大会の場では、見解を明らかにしていただけるように求めます。

 

以上

 

☆大阪市教委あて「放射線教育」に関わる要請と質問

2013911

大阪市教育委員会

教育委員長 長谷川 惠一 様

子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク

537-0025大阪市東成区中道3-11-15イディアールスパジオ1F

FAX(06)6976-9818

(本件の担当:望月、松田)

 

「放射線教育」に関わる要請と質問

 

 私たちは、712日、貴教育委員会と「放射線教育サポートシステム」や近大原子力研究所の「原子炉実験・研修会」について「協議」を行いました。「協議」の場では、「お金の出所は知らないが、放射線教育サポートシステムは活用できる1つのシステム」という貴教育委員会の回答に対して、私たちは、「常識から外れている。認められない。」と批判しました。823日には、文科省に対する行政文書開示請求で公開された関西原子力懇談会の規約と事業報告を証拠として、関原懇が「原子力の開発と利用の推進並びに原子力産業の発展に寄与すること」を目的とした組織であり(規約)、「放射線教育サポートシステム」を実施している団体「放射線知識普及連携プロジェクト」は、関西原子力懇談会が組織目標達成のためにつくったものである(事業報告)ことを指摘した文書を届けました。そして、関西電力などの原子力産業のための事業であることが明らかになった「放射線教育サポートシステム」に対して明確な態度を示すべきだと要請しました。

 

 また、712日の「協議」の中では、「放射線教育サポートシステム」で提供される学習指導案やワークシートでは「100mSv以下の低線量被ばくの発がんリスクが飲酒や運動不足よりも小さい」としていることなどを例に、関原懇がめざす放射線教育とは、「放射線は怖くない」ことを子どもたちに刷り込むことだと指摘しました。同時に、 NHK出版「低線量汚染地域からの報告」(2012925日発行)や岩波書店「調査報告 チェルノブイリ被害の全貌」(2013426日発行)を紹介して、チェルノブイリ原発事故の健康被害の大きさを指摘し、福島第1原発事故についても、小児甲状腺がんの多発の実態などを示し、すでに放射能汚染による健康被害が表れ始めていることを指摘しました。文科省「放射線副読本」などの「放射線はもともと自然界にたくさんあり、いろんな分野で利用できる便利なもので、放射線は怖くない」ということを子どもたちに刷り込む教育は認められないと主張しました。

 

 貴教育委員会は、829日付で、文科省委託事業である、放射線に関わる「教育職員セミナー」と「出前事業」案内の通知(発出元は文科省)を、何の評価も加えず、各学校に送付しました。しかし、これらの事業は、「国民の間に放射線に対する不安や社会的混乱が生じるとともに、被災者に対するいわれのない偏見や差別等が発生した」「食品への不安や被災地からの瓦礫受け入れ拒否等の社会問題があり、農水産物への風評被害は今も続いています」などを実施理由にしたものです。すなわち、これらの事業は、現実の放射能汚染による健康被害の危険を認めず、その危険に対処するための人々の行動を「不安」「社会的混乱」「社会問題」「風評被害」として誤ったものと評価し、子どもたちに、放射線について(「怖くない」と)「正しく理解」させて安心させようとする、「放射線副読本」の延長線上の事業です。これまでの「協議」で、貴教育委員会が、放射能・放射線について「『功と罪』の両方を教える必要があり、危険性についても当然教えなくてはいけない」と言ってきたことからしても、無批判にそのまま転送できるものではないのではないでしょうか。特に、「出前授業」の実施団体は、原子力産業がつくる「日本原子力文化振興財団」なのです。

 

 以上の認識に立って、以下の質問と要請をします。

 

<質問>

1.私たちは、関西原子力懇談会の規約と2011年度事業報告から、関原懇が「原子力の開

発と利用の推進並びに原子力産業の発展に寄与すること」を目的とした組織であり、「放

射線教育サポートシステム」を実施している団体・「放射線知識普及連携プロジェクト」

は、関西原子力懇談会が組織目標達成のためにつくったものだと認識していますが、貴

教育委員会の認識を聞かせてください。

2.放射線に関わる「教育職員セミナー」や「出前事業」を実施する場合には、福島原子

力発電所事故と放射能汚染の現実をきちんと伝え、被ばくの危険性をきちんと伝えるも

のであるべきだと思うのですが、貴教育委員会の認識を聞かせてください。

3.712日の「協議」の最後に「受け止め」として言われた「近大原子力研究所の『原

子炉実験・研修会』については、大阪市の教職員が参加しているか、出張扱いとなって

いるか、内容はどんなものか把握し、伝えられることは報告する。」についての状況を教

えて下さい。

 

<要請>

1.関西原子力懇談会に対して、教育介入事業といえる「放射線教育サポートシステム」

を中止するよう要求してください。

2.放射線に関わる「教育職員セミナー」と「出前事業」について、文部科学省と実施団

体に対して、事業目的を、子どもたちが自らの命を守るために必要な知識を身につける

こととし、内容に、福島原子力発電所事故と放射能汚染の現実を伝え、被ばくの危険性

を伝えることを加えるよう要求してください。

☆近大原子力研究所への宿泊研修会についての質問と回答

近畿大学原子力研究所長伊藤哲夫様宛 子どもたちを放射能から守る大阪ネットワークの夏休みの教職員対象宿泊研修会に関わる質問(2013.5.28

伊藤近大原子力研究所長名の回答(2013.7.18


<質問事項>

 

1.中学校教職員対象一泊二日の「授業に活かせる放射線教育研修会」【7月29

 日(月)~30日(火)、8月2日(金)~3日(土)、8月5日(月)~6日(火)の3回、

 1回の定員20人】は、近畿大学原子力研究所と関西原子力懇談会の主催です

 が、要項によると「参加費4000円、交通費実費補助(関西24県、福井県から

 参加の場合)、宿泊費無料」となっています。私たちは、この事業のために必要

 なお金は、関西原子力懇談会から出ていると認識していますが、それで間違い

 ありませんか。


<回答>

 

  本研修会は、原子力教育の一環として、原子炉や放射線についての科学的な

 知識を習得し、実際の教育現場で役立てることを目的として開催しているもので、

 研修の趣旨にご賛同いただいた関西原子力懇談会と近畿大学原子力研究所が

 共催で実施しています。

 

<質問事項>


2.小・中学・高等学校および高等専門学校教員対象一泊二日の「原子炉を用いた

 エネルギー・放射線体験講習」【7月23日~24日、7月31日~8月1日の2回、1

 回の定員20人】については、近畿大学原子力研究所名の募集案内リーフレット

 では、「受講料無料、交通費は当講習会基準にもとづいて補助、宿泊費・食費無

 料」となっています。私たちは、この事業は日本原子力産業協会の委託事業で

 あり、この事業のために必要なお金は日本原子力産業協会から出ていると認識

 していますが、それで間違いありませんか。


<回答>

 

  質問項目1への回答と同様に、研修会の趣旨にご賛同いただいた日本原子力

 産業協会のご支援のもとに近畿大学原子力研究所が実施しています。

<質問事項>


3.私たちは、日本原子力産業協会や関西原子力懇談会が、構成企業の経済的

 利益の観点から、原発再稼働、原発輸出と避難者の福島への帰還、そのため

 の「健康不安」の払しょくを重点に活動している団体であると認識していますが、

 その認識に間違いはありませんか。


<回答>


  近畿大学原子力研究所としてお答えする立場にありません。

 

<質問事項>


4.放射能汚染の現実の中で、被ばくの健康影響が問題となっています。

 「放射線教育サポートシステム」の中で配布されている教師用パンフレット、学習

 指導案、ワークシートなどでは、「放射線はもとから自然界にたくさんあり、そんな

に怖がる必要ない」「100mSv以下ではがんの過剰発生はみられない(健康被害は

出ない)」「放射線は便利なもの」としています。

 しかし、チェルノブイリ原発事故の健康影響についても、原子力産業の影響力の

つよい国際機関による報告以外に、20114月「キエフ国際科学会議」への「ウクラ

イナ政府報告書」(ウクライナ国立記録センターで管理している2,364,538人の被災

者のデータをもとにした報告)と低線量汚染地域「コロステン」の子どもたちの状況

を取材したNHKの報告【NHK出版「低線量汚染地域からの報告」(2012925

発行)参照】が出され、チェルノブイリ大惨事の影響を観察し、記録によって証拠づ

けた研究者の研究成果を、簡潔かつ系統だった形で提示したロシア、ベラルーシ、

ウクライナ3国の学者4による著書【岩波書店「調査報告 チェルノブイリ被害の

全貌」(2013426日発行)】も出版されています。その中では、低線量の被曝で

あっても、がん以外におびただしい健康被害が出ていることが報告されています。

今年の424日仙台高等裁判所の「ふくしま集団疎開裁判」の判決では、「(郡山市

で市民が)強線量ではないが低線量の放射線に間断なくさらされているものと認め

られ…その生命・身体・健康に対する被害の発生が危惧される」「児童生徒の生命

・身体・健康について由々しい事態の進行が懸念される」という判決文が出されて

います。

 このような状況の中でも、「100mSv以下ではがんの過剰発生はみられない(健康

被害は出ない)」と主張するには、上記の通り、低線量被曝の健康影響が指摘され

ていることへの明確な反論が必要です。私たちは、それができないのに、「100mS

v以下ではがんの過剰発生はみられない(健康被害は出ない)」という教育を行うこ

とは許されないと思います。この主張についての見解をお聞かせください。


<回答>


 本研修会の講師は科学者であり技術者です。研修会では、科学的知見に基づい

て説明をしております。我々が提示した科学的知見をどのように解釈するかは参加

者一人ひとりの判断であり、こちらから特定の主義・主張を押し付けるものではあり

ません。

☆7.29近大原子力研究所前で配布したビラ

近畿大学原子力研究所・関西原子力懇談会主催

「授業に活かせる放射線教育研修会」(729日~30日)は「交通費実費支給、宿

泊費無料」

関原懇って?研修会の目的は?


 729日~30日、8月2日~8月3日、8月5日~6日に、近大原子力研究所と関

西原子力懇談会が主催して、主として近畿24県と福井県の中学校教職員を対

象とした「授業に活かせる放射線教育研修会」(1回の定員20人)が行われます。

この「授業に活かせる放射線教育研修会」は、受講料は4000円ですが、それはほ

とんど3度の食事代等にあてられるのではないかと思われます。講師料や資料代

その他の運営費や受講者に支給される交通費(実費)、受講者に無料で提供され

る宿泊に関わる費用等かなりの額になると考えられる経費は、関西原子力懇談

会が負担しています。


関西原子力懇談会ってどんな組織? 


 関西原子力懇談会のホームページには、「原子力発電は地球温暖化の特効薬

」とあります。一方、福島第一原発事故については何の説明もありません。事業

案内の会長あいさつから、現在の会長が西原英晃氏であること、1956年に日本

原子力産業会議の関西地方組織として設立されたことは分かりますが、役員や

会員などの組織実態については何もわかりません。「役員や会員を教えてほし

い」と申し出ると、「公表しないことにしている」との回答です。関西電力を重要な

構成企業とする原発推進のための団体であることだけは確かです。


関西原子力懇談会が実施する「放射線教育サポートシステム」って?


 この研修会の題名は「授業に活かせる放射線教育研修会」です。関原懇はど

んな授業を望んでいるのでしょうか。関原懇が近畿24県と福井県の中学校理

科教職員を対象に実施している「放射線教育サポートシステム」という事業があ

ります。そのサポートシステムの教職員向けセミナーなどで配布される学習指導

案やワークシートでは、「放射線には怖いというイメージがあるが、身近なところ、

自然界にもあり、便利なもので、そんなに怖がる必要はない」「がんなどの病気

、喫煙、飲酒、運動不足など多くの原因があり、100mSv以下の被曝ではほと

んど影響がない」ということを刷り込むことが学習目標となっています。これは、

関原懇(関電)のための授業です。今回の研修会も、関原懇の望む授業を行う

教職員の育成が目的です。参加される皆さんには、ぜひ注意してほしいと呼び

かけます。


子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク

大阪市東成区中道3-11-15イディアールスパジオ1F  

 (連絡先:松田090-1138-5776)

☆7.23近大原子力研究所前で配布したビラ

近畿大学原子力研究所「教員のための原子炉・研修会」(723日~24日)は、「受

講料無料、交通費補助、食事・宿泊は大学側が用意し、負担なし」


費用はどこから?目的は?

 723日~24日と731日~81日に、近大原子力研究所が全国の小・中・高等

学校および高等専門学校教員を対象にした「教員のための原子炉実験・研修会」(

1回の定員20人)が行われます。この「原子炉実験・研修会」は、「受講料無料、交

通費補助、食事・宿泊は大学側が用意し、負担なし」なのだそうです。この費用はど

こから出ているのか?その費用を負担する側の目的は何か?誰でも疑問に思うの

ではないでしょうか。

 この疑問への説明は、「原子炉実験・研修会」のパンフレットにはまったくありま

せん。


 費用はどこから? 実は、この「原子炉実験・研修会」の費用は、「日本原子力産

業協会」から出ているらしいのです。「日本原子力産業協会」は、「原発再稼働、原

発輸出、避難者の福島への帰還とそのための健康不安の払しょく」を掲げて活動

する日本の原子力ムラの中心団体です。その「日本原子力産業協会」の委託事業

だというのです。


何のために? 「放射能は怖くない」「原発推進は必要」という教育(原子力ムラの

ための教育)を実践する教員を育成するためです。

 経費をすべて出してもらって研修会に参加した教員は、当然、保護者・市民から

その金の出所と研修会の目的について説明を求められることになります。ところ

が、近大原子力研究所は、受講者に対してその説明をまったくしていません。そ

もそも、この「原子炉実験・研修会」が「日本原子力産業協会」の委託事業である

ことを受講者募集のパンフレットのどこにも書いていないことが問題です。


 近畿大学原子力研究所は、「原子炉実験・研修会」が「日本原子力産業協会」の

委託事業であることを説明すべきです。

子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク

大阪市東成区中道3-11-15イディアールスパジオ1F  

 (連絡先:松田090-1138-5776)

☆7.12放射線教育サポートシステムに関わる大阪市教委との「協議」報告



「子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク」の「『放射線教育サポートシステ

ム』にかかわる大阪市教委との協議」(2013年7月12日の報告をします。(M

 

時間:15:0017:00

場所:市役所地下1階第1会議室

 

市教委出席者:麦田(指導部初等教育担当小学校教育グループ)、

          風間(指導部中学校教育担当中学校教育グループ)

          斉藤(総務部総務課庶務グループ)

 

参加者:24

協議の進行


1.回答内容の明確化(2013611日付「『協議』の要請」の「説明を求めたい

 内容」への回答)


 <回答要旨>「放射線教育サポートシステム」の実施団体「放射線知識普及連

  携プロジェクト」の設立趣旨・活動目的や「放射線教育サポートシステム」の事

  業趣旨は把握しているが、この事業のお金の出所は知らないので答えられな

  い。「放射線教育サポートシステム」で提供されている教員向けガイドブック「

  生徒と一緒に考える放射線」等主なものは入手している。何が「正しい情報」

  かということについてはいろんな考えがあるが、「放射線教育サポートシステ

  ム」は、知識や情報の面で放射線理解の1つのツールであると考えている。

 

2.回答に対する指摘・要求(「協議」に至る経過に関わる資料、放射線教育サポ

 ートシステムと関西原子力懇談会の実態に関わる資料、近畿大学原子力研究

 所「原子炉実験・研修会」に関わる資料をもとに)

 

1)実施団体「放射線知識普及連携プロジェクト」の実態について

 

 ・ 関西原子力懇談会のホームページの内容をもとに、関西原子力懇談会

  が関西電力を中心とする原子力産業の利益のために原発推進の世論づ

  くりを担う組織であること、「放射線教育サポートシステム」の紹介・受付が

  「放射線知識普及連携プロジェクト」の事務局である関西原子力懇談会の

  ホームページにしかなく、「放射線教育サポートシステム」は運営も財源も

  すべて関西原子力懇談会が担う事業であることを指摘した。

 

  大阪市教委が「お金の出所は知らない」まま、建前の実施団体設立趣旨

  や活動目的、事業趣旨だけで「放射線の知識を学び、授業に生かすため

  に活用できる1つのシステム」としていることは信じられない、世間の常識

  から外れていると指摘した。私たちがお金の出所が関西原子力懇談会(

  =関西電力)であることを根拠として「放射線教育サポートシステム」が関

  電の私的利益のための教育介入事業であると訴えているにもかかわらず、

  「お金の出所は知らない」まま放置している大阪市教委の感覚・怠慢を批

  判した。


  原発再稼働・原発輸出・避難者の福島への帰還とそのための健康不安の

  払しょくを活動方針に掲げ、政府にも要求している日本原子力産業協会の

  事業報告の中に、関連団体として関西原子力懇談会が紹介され、「福島第

  1子力発電所事故を受けて…原子力立地地域における理解促進活動」を

  おこなったと記載されていることを市教委担当者が評価する発言したことに

  対して抗議し、市教委としてこの活動を支持しているわけではないことを確

  認した。


2)「放射線教育サポートシステム」の内容について


 ・ 「放射線教育サポートシステム」の中で配布されている学習指導案とワーク

  シートをもとに、この学習が福島第1原発事故や放射能汚染の現実にまった

  くふれることなく、「放射線は怖くなく便利なもの」「100mSv以下の被曝では健

  康影響はない」ことを刷り込むことを目的とした学習であることを指摘した。「

  放射線教育サポートシステム」は、日本原子力産業協会事業報告の中に関西

  原子力懇談会の活動として紹介されている「放射線に対する正しい知識の提

  供」事業であり、原子力産業のための「健康不安の払ょく」を目的としたもので

  あることを指摘した。


 ・ 福島・郡山からの避難者Hさんから、チェルノブイリ原発事故27年目の健康

  被害の現実、福島疎開裁判高裁判決で「児童生徒の生命・身体・健康に対

  する由々しい事態の進行が懸念される」と指摘されたこと、被ばくの健康影

  響を懸念しながらも他の子を違った防御策をとることができなくなっている福

  島の子どもたちの現状を紹介。「その現実を受け止めた対応を」を要望。


 ・ 原子力や放射線の功罪を教える必要があると言いながら、「罪」の部分に

  ついて教える内容をまったく具体化しようとしていない大阪市教育委員会

  姿勢を批判。


3)近大原子力研究所・関原懇主催「原子炉実験・研修会」について


 ・ 528日付の近大原子力研究所あての「原子炉実験・研修会」について

  質問書の内容を紹介し、それへの回答がいまだないことを伝えた。


 ・ 原子力産業のために、「放射線は怖くなく、便利なもの」と教える教員の

  成を目的としたもので、「出張」扱いすべきでないと要求した。少なくとも実態

  を把握すべきと訴えた。


4)教育委員会の姿勢について

  
 ・ 福島第1原発事故を起こしてしまったことに対して責任を感じるべき。原子力

  ムラとの関係、原発安全神話に手を貸してしまった現実を見つめ、二度とくり

  かえさないという姿勢で臨んでほしい。教育に責任を持っていることに誇りと

  自覚をもって仕事をしてほしい。


3.出席した市教委担当者の受け止め


 ・ 回答になっていないと指摘を受けた部分もあったが、今後理解いただけるよ

  うに検討していきたい。


 ・ 近大原子力研究所の「原子炉実験・研修会」については、大阪市の教職員

  が参加しているか、出張扱いとなっているか、内容はどんなものか把握し、伝

  えられることは報告する。


 ・ 今後も指摘・情報をお願いしたい。



 

☆近大原子力研究所の夏休み宿泊研修会反対の要請を近所の中学校に届けてください

近畿24県と福井県の全中学校に案内状送付

 

 近畿大学原子力研究所の「原子炉実験・研修会」(一泊二日 3回 729日~30日 82日~3日 85日~6日)の案内(625日付原子力研究所長伊藤哲夫名)が、近畿24県と福井県の全中学校にメール便で送られています。内容は、原子炉の運転や実験等の体験を通して原子炉・放射線について学習する機会を提供する研修会であり、学習指導要領の改訂により中学校に放射線教育が本格的に導入されたことを受け、先生方の知識習得ならびに『どう教えるか』のノウハウを提供する研修会であると紹介しています。そして、文部科学省の後援を得たことを紹介して、安心して参加できる研修会だとのイメージをつくろうとしています。

 

関西原子力懇談会(=関電)がお金を出し、参加事務を行う研修会

 

 しかし、この案内では、まったく隠していることがあります。交通費実費支給、宿泊費無料を初め、かなりの額となると考えられるこの研修会の費用をだれが負担しているかということです。この研修会は、関西原子力懇談会(関電の世論工作組織)と近大原子力研究所の共催です。お金は関原懇(=関電)から出ており、参加募集事務も関西原子力懇談会が行っています。関原懇は、「原発再稼働・原発輸出・福島県民の帰還とそのための健康不安の払しょく」要求の先頭に立つ日本原子力産業協会の関係組織であり、この研修会の目的は、福島第1原発事故の放射能汚染と健康被害の現実を隠し、「放射能は怖くない」と刷り込む「放射線教育」を学校に持ち込むために、原子力ムラの手先となる教員(理科教員)を育成するということです。こんな研修会を堂々と実施させるわけにはいきません。

 

お近くの中学校に要請書を届けてください

 

 私たち「子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク」は近大原子力研究所に対して、この夏休み研修会に対する質問書を528日付で出しています。(未だ回答なし)関西原子力懇談会については、311日付で、組織の実態を問う質問と教育介入をやめるよう求める要請を届けています。(回答拒否)私たちは、これらの質問書を資料として、原子力ムラの教育介入である近大原子力研究所の夏休み研修会に協力せず、批判の声をあげることを求める要請書を近畿24県と福井県の中学校に届けようと呼びかけます。お近くの中学校に別紙要請書を届けていただけませんか。ぜひ、ご協力を!

 

子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク(連絡先:松田090-1138-5776

☆近大原子力研究所夏休み「原子炉実験・研修会」案内

平成25625

学 校 長   様

理 科 主 任 様

近畿大学原子力研究所

所長 伊 藤 哲 夫

 

平成25年度 原子炉実験・研修会のご案内について

(中学校教職員対象)

 

拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

 平素より当研究所事業にご支援・ご協力を賜り厚く御礼を申し上げます。

 近畿大学原子力研究所では、平成3年度から原子炉の運転や実験等の体験を通して原子炉・放射線について学習する機会を提供してまいりました。

 学習指導要領の改訂により、平成24年度から中学校において放射線教育が本格的に導入されたことを受け、先生方の知識習得ならびに「どう教えるか」のノウハウを提供する研修会を実施しており、好評を得ております。

 

 本研修会の内容につきましては、既に先般ご案内させていただいておりますが、このたび、文部科学省からご後援をいただきましたので、あらためてご案内申し上げます。

 

 現在、順次参加申し込みを頂戴しているところですが、今のところは定員に余裕がございます。本研修会では、現役の中学校教員による実践例の発表・意見交換を企画するなど、現場の先生方のご要望に対応したカリキュラムを用意しておりますので、ぜひご活用いただきたく、皆様方のご参加を心よりお待ち申し上げます。

 

敬具

 

☆中学校あて要請書(近大原子力研究所夏休み宿泊研修会批判)

2013年7月  日

   中学校

学 校 長 様

理科担当教諭様

 

子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク

537-0025大阪市東成区中道3-11-15イディアールスパジオ1F

FAX(06)6976-9818

連絡先:松田(090-1138-5776

 

近畿大学原子力研究所/関西原子力懇談会主催

「原子力実験・研修会」に協力しないで下さい

 

拝啓 時下ますますご清祥のこととお喜びもうしあげます。

突然のお便り、お願いで申し訳ありません。私たちは、福島第1原発事故による放射能汚染から子どもたちを守りたいと活動している市民団体です。

 

 私たちは、チェルノブイリ原発事故や福島第1原発事故の放射能汚染による健康被害を隠して、「『正しく怖がる』ことが必要」「心配しすぎることが問題」とする宣伝が、原子力ムラの意向を受けて、教育の場でも行われようとしていることに危惧を抱いています。特に、「放射線知識普及連携プロジェクト」(実態は、関西原子力懇談会という関西電力の世論工作組織)が「放射線教育サポートシステム」という関西24県と福井県の中学校理科教員を対象にした事業を行っていることに対して、関電の私的利益のために子どもたちに「放射能は怖くない」と刷り込む教育介入事業であると批判しています。

 

 貴校にも、学校長様・理科主任様あてで、625日付近畿大学原子力研究所長名の「平成25年度原子炉実験・研修会のご案内について(中学校教職員対象)」という文書が届いているものと思います。この「授業に活かせる放射線教育研修会~原子炉に触れてみませんか~」と題する一泊二日の研修会(夏休み中3回)は、625日付文書に同封の案内パンフレット(関西原子力懇談会のホームページでも見ることができます)でも明らかなように、関西原子力懇談会が募集事務を行い、交通費・宿泊費他の経費も関西原子力懇談会が出す、原子力ムラの手先となる教職員養成のための研修会です。(関西原子力懇談会や近畿大学原子力研究所に私たちが出した「要請・質問」を添付しておきます)

 

 この「授業に活かせる放射線教育研修会~原子炉に触れてみませんか~」に協力しないでください。さらに、このような教育介入事業への批判・質問を近畿大学原子力研究所や関西原子力懇談会にぶつけてください。原子力ムラの教育介入をやめさせるためにお力を貸してください。よろしくご検討をお願いします。

 

敬 具

☆関原懇教育介入反対!ツアーとつどいのご案内

関原懇(関電の世論工作組織)の教育介入反対!

518日(土)に

大阪科学技術館・原発宣伝見学ツアー(11:0012:00)と学校の放射線教育を考えるつどい(13:3015:00)をやります。ご参加ください。

 

 関西電力の世論工作組織といえる関西原子力懇談会は、中学校理科の学習指導要領に「放射線の性質と利用」という項目が入ったことを好機として、「放射線教育サポートシステム」と称して、中学校理科教育に介入しようとしています。お金の出所を隠し、「科学」を装いながら、放射能・放射線は「怖くない」「とても便利なもの」という印象を子どもたちに刷り込むことで、放射能汚染被害の責任追及を逃れ、原発推進の基盤をつくろうとしています。この夏休みにも、関西24県と福井県の中学校教員を対象に、「授業に活かせる放射線教育研修会~原子炉に触れてみませんか~」と題する一泊二日の原子炉実験・研修会を3回(120人定員)、近畿大学原子力研究所と共催で行おうとしています。交通費実費支給、宿泊費無料のこの研修会開催費用はかなり多額になるはずです。その資金は誰が出しているのか?何のために?と問えば、この研修会の性格は自ずと明らかになります。

 私たち「子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク」は、関原懇の教育介入に反対して、大阪市教育委員会や関原懇に質問や要請を行ってきました。学校教育に関わろうとする「放射線教育サポートシステム」のお金の出所が闇の中であるのはおかしいと関原懇に質問書を出しましたが、関原懇は回答を拒否しました。そんな闇の組織が教育に関わることは許されません。この運動をどう拡大するか、みんなで話し合いたいと以下の企画をしました。ご参加ください。

 

5月18日(土)

1:00~12:00 大阪科学技術館見学ツアー(集合:大阪科学技術館1階ロビー 10:50 地下鉄四つ橋線本町下車28番出口を出て北へ徒歩3分)

12:00~13:30 昼食・移動

13:30~15:00 第2回放射線教育を考えるつどい(場所:コミュニテ

ィスペース「ポポロ」 東成区中道3-11-15イディアールスパジオ1F/JR

環状線「玉造」下車北東へ徒歩 5/ 地下鉄「玉造」下車徒歩7分 )

 

呼びかけ:子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク

連絡先:松田090-1138-5776 matsuda-f@r8.dion.ne.jp

☆大阪科学技術センター見学ツアーと第2回学校の放射線教育を考えるつどい

今後の関西原子力懇談会「放射線教育サポートシステム」拒否の運動について(松田)

 

 311日、関西原子力懇談会に直接渡しに行った「要請と質問」に対して、関原懇は回答を拒否しました。関原懇が事務局を担っている「放射線教育サポートシステム」は、関西電力の私的企業利益のための教育介入事業ではないかと疑う立場からの質問に一切答えないということは、それを認めたことを意味します。

私たちは、今後、関原懇の回答拒否から以下のことが明らかになったとして、「放射線教育サポートシステム」の事業対象地域である関西及び福井県の中学校理科教育にかかわるあらゆる組織へ、「放射線教育サポートシステム」についての見解を求め、「放射線教育サポートシステム」拒否の立場を明らかにするよう求めていきたいと思います。

また、関電副社長が会長を務める一般財団法人大阪科学技術センターのビルの1・2階の大阪科学技術館に関西電力と関原懇が共同で行っている原発推進のための宣伝展示に対する質問に誰が答えるのかという追及を行い、原子力ムラに自由にデマ宣伝をさせない状況をつくっていく活動を行いたいと思います。(3.11要請行動に参加したHさんが、大阪科学技術館の原子力関係の展示内容についての説明を求めたところ、館の案内係【委託】は関原懇が説明すると言ったが、関原懇に直接説明を求めると説明できないことが明らかになった。)

 

<関原懇の回答拒否で明らかになったこと>

1.「放射線教育サポートシステム」の運営費用は、関西原子力懇談会が出している。

2.関西原子力懇談会は、構成団体(企業)・個人も、収支も明らかにしない、公教育にかかわることがふさわしくない組織であり、実体は関西電力の世論工作組織である。

3.関西原子力懇談会の「放射線教育サポートシステム」の中では、放射線は怖くなく、低線量被ばくでは健康被害はないかのような宣伝をしているが、福島の38000人の子どもの調査で、10人近い子どもたちにがんが見つかったり、ウクライナ政府報告書の中で、放射能汚染のために甲状腺がんはもちろん、水晶体異常や慢性疾患が増加(198831.5%から200878.5%に増加)

したことが指摘されていることを示して、低線量の放射能汚染が健康被害をもたらしている私たちがと主張したことに対して反論する根拠を持ち合わせていない。

 

<これまでの経過>

201274日 放射線副読本の扱いについて、大阪市教委に要請・質問書提出 

97日 放射線副読本についての市教委との「協議」(参加:8人)

114日 放射線教育を考えるつどい(参加:9人)

115日 大阪市教委に要請・質問書提出(「命を守る教育」の実施、配布した文科省放射線副読本の回収・保護者説明、「放射線教育サポートシステム」の事業中止要求)

126日 市教委から回答が届く

201318日 2012.12.6回答についての「協議」(参加:14人)

311日 関西原子力懇談会へ「要請と質問」を提出(参加:18人)

417日 関原懇(西村氏)が、電話での要請に回答拒否を明言。

 

<今後の運動について>

 

1.大阪科学技術館の見学ツアー(展示内容について追及する点を明らかにするためのツアー)と今後の方針を検討する第2回放射線教育を考えるつどいを以下の日程で開催します。ご参加ください。ツアーかつどいかどちらかだけの参加でも結構です。(連絡先:松田 090-1138-5776

 

5月18日(土)

 11:00~12:00 大阪科学技術館見学ツアー(集合:大阪科学技術館一階ロビー 10:50地下鉄四つ橋線本町下車28番出口を出て北へ徒歩3分)

 12:00~13:30 昼食・移動

 13:30~15:00 第2回放射線教育を考えるつどい(場所:コミュニティスペース「ポポロ」 東成区中道3-11-15イディアールスパジオ1F/JR 環状線「玉造」下車北東へ徒歩 5/ 地下鉄「玉造」下車徒歩7分 )

 

 2.大阪市教委に対して、「放射線教育サポ-トシステム」について、関原懇の回答拒否を受けて、再度、要請書を提出する。→52日に提出(下に掲載)。今後、回答を受けて市教委との「協議」を要求する予定)

3.関西原子力懇談会と近畿大学原子力研究所が主催して夏休みに312日で中学

校理科教員対象に行う原子炉実験・研修会「授業に活かせる放射線教育研修会~原子炉に触れてみませんか~(宿泊無料、交通費補助)への反対キャンペーンに取り組む。

☆大阪市教育委員会への「放射線教育サポートシステム」に関わる再要請書(2013.5.2)

201352

大阪市教育委員会

教育委員長 長谷川 惠一 様

子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク

537-0025大阪市東成区中道3-11-15イディアールスパジオ1F

FAX(06)6976-9818

(本件の担当:親家、望月)

 

「放射線教育サポートシステム」に関わる要請と質問

 

 私たちは、昨年115日付で、放射線教育にかかわる「要請と質問」を提出し、「命を守る」という立場での教育を要請しました。126日付でいただいた回答のうち、「放射線教育サポートシステム」についての見解を求めた質問に対する回答は、「放射線の知識を学び、授業に生かすために活用できる1つのシステム」で問題ないというものでした。私たちは、「放射線教育サポートシステム」の実態を明らかにすべく、その事業を実施している「放射線知識普及連携プロジェクト」の事務局である関西原子力懇談会に、311日、直接、「要請と質問」(別紙)を提出し、回答を求めました。それに対して、関西原子力懇談会は回答を拒否しました。私たちは、この回答拒否は、以下のことを意味していると考えています。

  

<関原懇の回答拒否で明らかになったこと>

1.「放射線教育サポートシステム」の運営費用は、関西原子力懇談会が出している。

2.関西原子力懇談会は、構成団体(企業)・個人も、収支も明らかにしない、公教育にかかわることがふさわしくない組織であり、実体は関西電力の世論工作組織である。

3.関西原子力懇談会の「放射線教育サポートシステム」の中では、放射線は怖くなく、低線量被ばくでは健康被害はないかのような宣伝をしているが、福島の38000人の子どもの調査で、10人近い子どもたちにがんが見つかったり、ウクライナ政府報告書の中で、放射能汚染のために甲状腺がんはもちろん、水晶体異常や慢性疾患が増加(198831.5から200878.5%に増加)したことが指摘されていることを示して、低線量の放射能汚染が健康被害をもたらしている私たちがと主張したことに対して反論する根拠を持ち合わせていない。

 

私たちが、前回の「要請と質問」で指摘した「『放射線教育サポートシステム』は、関西電力のお金で関電の私的利益のために実施されている事業である」ことについて、関西原子力懇談会は否定しませんでした。また、お金の出所や関西原子力懇談会という組織自身についての質問に答えていません。学校教育に関わる団体が、関西原子力懇談会のような不透明な組織であることは許されません。

貴教育委員会は、「(放射線教育サポートシステムは)放射線の知識を学び、授業に生かすために活用できる1つのシステム」であり、問題ないと答えた以上、私たちの以下の質問に答える義務があると思います。そして、その内容を踏まえた上で、再度、「放射線教育サポートシステム」についての見解を明らかにしていただきたいと思います。

 

<質問>

 

1.「放射線教育サポートシステム」の実施団体は「放射線知識普及連携プロジェクト」となっていますが、関西原子力懇談会がその事務局です。関西原子力懇談会のホームページでは、その事業(「放射線教育サポートシステム」)の主体として、「教育ツールの提供や講師の派遣など、放射線教育にあたる先生方をサポートしてまいります」と表明しています。この「放射線教育サポートシステム」の運営費用はどこから出ているのですか。

 

2.学校教育にかかわる団体の構成・運営は当然公開されていなければなりません。関西原子力懇談会の構成企業等はホームページで公開されていませんが、明らかにしてください。また、その収支、特に関西電力が関西原子力懇談会に対して出しているお金の額についても明らかにしてください。

 

<要請>

1.以上の質問への回答を踏まえて、「放射線教育サポートシステム」についての再見解を明らかにしてください。

 

2.原子力発電を推進するために「放射能は怖くない」と考える人がふえることに企業利を見出す関西電力を重要な構成団体とする関西原子力懇談会が学校の理科教育(放射線教育)に直接かかわることは許されないという立場で、関西原子力懇談会に対して「放射線教育サポートシステム」を中止するよう要請してください。

☆関西原子力懇談会への「要請と質問」(2013.3.11)

3月11日に平和と民主主義をめざす全国交歓会が呼びかけたワンデイアクションの一環として、関西原子力懇談会へ「要請と質問」を届ける行動を18人の参加で行いました。以下が「要請と質問」です

2013311

関西原子力懇談会様

子どもたちを放射能から守る大阪ネットワーク

537-0025大阪市東成区中道3-11-15イディアールスパジオ1F

FAX(06)6976-9818

(本件の担当:松田、片岩)

 

「放射線教育サポートシステム」に関わる要請と質問

 

 私たちは、福島第一原発事故による放射能汚染の現実の中で、放射能被害から子どもたちを守るために活動している団体です。

 

 私たちは、学校の放射線教育に関わって、大阪市教育委員会に「子どもたちの命を守る教育を求める要請」を行いました。その中で、私たちは以下のような指摘をしています。

 

(以下は、2012115日付大阪市教育委員会あて要請書より)

 911日、福島県民健康調査(子どもの甲状腺検査)の結果が公表されました。36万人の対象者のうち8万人を調査した段階で、40%を超える子どもたちにのう胞・結節が見つかり、2次検査の対象者425人のうち、60人の細胞検査を行って38人の結果がわかった段階で、1人が甲状腺がんだったということです。明らかに放射能汚染の影響と考えられる事態に対して、県当局と検討委員会座長山下俊一氏らは、秘密会で、「がん発生と原発事故に因果関係はない」として、本会合の検討委員会でのやり取りを事前に打ち合わせていたことが明らかになっています。このことについて、私たちは、原発事故の放射能汚染による深刻な健康被害が進行しているのに、それを隠ぺいしようとする人たちがいるのだと考えざるをえません。安全宣伝をくり返し、被ばくを強いる行為は犯罪であり、山下俊一氏らは福島原発告訴団から告発されています。

 文部科学省の放射線副読本は、子どもたちに「放射線は怖くない」と印象付けることを目的としており、「不十分」にとどまらず、犯罪的なものです。加えて、中学校理科の「放射線の性質と利用」の学習をサポートするとして、「放射線知識普及連携プロジェクト」(事務局:関西原子力懇談会)が「放射線教育サポートシステム」の利用を学校現場に宣伝しています。この事業は、運営も財源も、関西電力のトンネル組織ともいえる関西原子力懇談会に依存しており、関西電力の原発推進路線を支える「放射線は怖くなくて便利なもの」という意識を子どもたちに刷り込むためのものです。

 大阪市教育委員会には、文科省「放射線副読本」や「放射線教育サポートシステム」に対する明確な批判見解を表明し、子どもたちが、事故と放射能汚染の現実、被ばくの危険性と防護のために必要な知識を学ぶことができる「命を守る教育」を実施して頂きたいと思います。

(以上)

 

 大阪市教育委員会には、私たちの認識と要求を届けることができましたが、今回、直接に、貴関西原子力懇談会に「要請と質問」を届けます。以下の要請と質問にお答えください。

 

<要請項目>

 

1.原子力発電を推進するために「放射能は怖くない」と考える人がふえることに企業利益を見出す関西電力を重要な構成団体とする関西原子力懇談会が学校の理科教育(放射線教育)に直接かかわることは許されないので、直ちに教育介入とみなされるような「放射線教育サポートシステム」を中止してください。

 

<質問項目>

 

1.「放射線教育サポートシステム」の実施団体は「放射線知識普及連携プロジェクト」となっていますが、関西原子力懇談会はその事務局となっています。また、関西原子力懇談会のホームページでは、その事業(「放射線教育サポートシステム」)の主体として、「教育ツールの提供や講師の派遣など、放射線教育にあたる先生方をサポートしてまいります」と表明されています。この「放射線教育サポートシステム」の運営費用の出所を明らかにしてください。

 

2.学校教育にかかわる団体の構成・運営は当然公開されていなければなりません。関西原子力懇談会の構成企業等はホームページで公開されていませんが、明らかにしてください。また、収支についてもオープンにしてください。

 

3.「放射線教育サポートシステム」で提供される教材やパンフレットの中の放射能汚染のもたらす健康被害に対する認識は全く間違っていると思います。2011年度の福島県民健康管理調査(子どもの甲状腺検査)で調査対象約38000人のうち、がんが3人、疑いのある子が7人いたことが明らかになり、100万人に12人しか出ないはずとされていた小児甲状腺がんの増加は隠しようもありません。また、20114月にウクライナ政府が「キエフ国際科学会議」に提出した、2364538人の被災者データをもとにした政府報告書では、放射能汚染のために甲状腺がんはもちろん、水晶体異常や慢性疾患が増加(198831.5%から200878.5%に増加)したことを指摘しています。(NHK出版「低線量汚染地域からの報告」2012925日発行参照)これらの事実についての見解を明らかにしてください。

 

☆「放射線教育サポートシステム」と関西原子力懇談会(2012.12.28)

1.「放射線教育サポートシステム」の公式説明

 8月下旬、関西(福井県を含む)の各中学校に、教職員対象の「放射線教育サポートシステム」を案内する放射線知識普及連携プロジェクト(事務局:関西原子力懇談会)の封筒が送られてきました。

 

 その案内によると、放射線知識普及連携プロジェクト(代表 近畿大学 原子力研究所所長・教授 伊藤哲夫)は、20113月の福島第1原発事故を契機に、関西地域の原子力関係の学会・大学・団体の有志が連携して、幅広い層に対し、放射線に関する疑問や不安に応えるとともに、放射線の基礎知識や正しい情報を伝えていくことを目的に20116月に設立。20118月~9月には、文部科学省と各府県市教育委員会の後援を得て、教職員対象「基礎から学ぶ放射線セミナー」を6府県8会場で主催したとのこと。

 

 今年度から約30年ぶりに中学校理科に放射線教育が本格導入されるにあたり、放射線教育にあたる先生方をサポートするために、教育ツールの提供・貸出や講師の派遣などをパッケージで提供する「放射線教育サポートシステム」の運用を開始するということで、学習指導案とワークシートをセットにしたガイドブック、放射線測定実験の手順をおさめたDVD、簡易放射線測定器の貸出など、放射線教育の現場ですぐに実践いただけるサービスを取りそろえていると紹介しています。

 

<別紙プリントによると>

サービス提供条件

対象  :近畿24県および福井県の中学校教員

使用目的:授業、研修目的での使用を原則とする

費用  :「霧箱実験キット」以外の機材の提供、発送、講師派遣等は、放射線

知識普及連携プロジェクトが負担

*今後の改善のために利用後、アンケートにご協力いただく。

 

<サポート内容>

①教職員向けガイドブック「生徒と一緒に考える放射線」の提供

②実習DVD「生徒と一緒に考える放射線(実習編)」、ワークシートの提供

③簡易放射線測定器の貸出(ガンマくん、ベータちゃん)

④ペルチェ型霧箱の貸出 ※1

⑤霧箱実験キットの提供(有料) ※1

⑥講師の派遣

⑦教職員向けセミナーの実施 ※2

⑧放射線解説DVDの貸出

⑨同システム利用者に対する技術的サポート

※1 「⑥講師派遣」との組み合わせが条件となります。

※2 教育委員会や学校単位等の公的な集まりで、一定人数が確保されること

が条件となります。

 

<申込窓口>

放射線知識普及連携プロジェクト事務局

「放射線教育サポートシステム」担当 関西原子力懇談会 吉岡・荒木

5500004 大阪市西区靱本町184 大阪科学技術センタービル5階

       TEL0664413682  FAX0664413683

       E-Mailkyouiku.ss@kangenkon.org

 

2.中学校理科教員対象の講習会の内容

2012910日に、大阪市中学校教育研究会第2ブロック理科部の研究会(勤務時間に出張で参加)が、この「放射線教育サポートシステム」の⑦「教職員向けセミナー」として行われました。その場には、「放射線知識普及連携プロジェクト事務局(放射線教育サポートシステム)西村健、船田浩志」名の「大阪市2ブロック理科教育研究会 放射線講習会」と題する進行レジュメが準備されていました。その内容を次に書き出します。(以下)

 

本日の次第

 

14:0015:00 講義「放射線の基礎と利用」

     講師:近畿大学 原子力研究所 講師 若林源一郎 氏

 

15:0016:15 実習

      ※霧箱工作・観察

      ※簡易放射線測定器(ベータちゃん)を使った実験

     講師:近畿大学 原子力研究所 講師 若林源一郎 氏

        関西原子力懇談会 西村 健

 

16:1516:30 教職員向け放射線ガイドブックの説明

     講師:近畿大学 原子力研究所 講師 若林源一郎 氏

        関西原子力懇談会 西村 健

 

16:3017:00 意見交換

      ※放射線教育に関する意見交換 など

 

【配布物】

  ◇放射線の基礎と利用(講義配布資料)

  ◇教職員向けガイドブック「生徒と一緒に考える放射線」1冊

  ◇同上付録:放射線教育ワークシート(学習指導案・ワークシート各2種)

  ◇「生徒と一緒に考える放射線」(実習編)DVD1枚とワークシート5枚

  ◇放射線教育サポートシステムの案内

(以上)

 

 参加費は、霧箱実験キット代の500円だけでした。講義・実習の後、プログラムでは「教職員向けガイドブック説明」とあるところで、ガイドブック「生徒と一緒に考える放射線」の説明とともに、「放射線教育ワークシート(学習指導案・ワークシート各2種)」(別紙)の説明がありました。「自然放射線が身の回りにはいっぱい存在していて、放射線は怖くない」「放射線は様々に利用されていて、有益なもの」「100mSv以下の低線量被ばくによるがんリスクは、喫煙・飲酒・運動不足より小さい」などを教えようとするもので、講習会の目的は、中学校理科教員にこういう授業をやらせることにあったことがわかりました。

 

3.「放射線知識普及連携プロジェクト」の実態

「放射線知識普及連携プロジェクト」の実態とはどんなものか、お金がどこから出ているのかを明らかにしたいと思い、プロジェクト代表の近畿大学原子力研究所長伊藤哲夫氏に質問書を送り、やりとりをしました。そのやりとり(別紙)から、運営や会計の詳しい実態はわからなかったものの、「放射線知識普及連携プロジェクト」がお金の面でも運営の面でも全面的に「関西原子力懇談会」に依存する組織だということはわかりました。伊藤哲夫氏の926日付回答文の中に、「ご質問にありました放射線教育サポートシステムのメンバー、運営等は、放射線教育サポートシステムを紹介するHPに掲載予定であり、それを参考にしてください。」とありましたが、それは、関西原子力懇談会のHPに掲載されました。放射線教育サポートシステムを紹介するHPは他にはありません。

 

4.関西原子力懇談会HP(別紙)からわかること

関西原子力懇談会HPのトップページに、20121029日発信「放射線教育サポートシステムについて追加しました」がアップされました。クリックすると、「放射線教育サポートシステム(中学校教員対象)」のページが出てきます。このページでは、放射線知識普及連携プロジェクト代表伊藤氏の「放射線を正しく理解し、正しくこわがるために」という文章、放射線知識普及連携プロジェクト実行委員会メンバー(代表1名、委員10名、事務局:関西原子力懇談会)とともに、次の文章が載せられています。

「放射線知識普及連携プロジェクトと連携し、関西原子力懇談会では、教育ツールの提供や講師の派遣など、放射線教育にあたる先生方をサポートしてまいります」

 すなわち、「放射線教育サポートシステム(中学校教員対象)」は関西原子力懇談会が主体的に実施している事業であることを表明しているわけです。

 「放射線教育サポートシステム 詳細ページ」をクリックすると、「サービス提供条件、サポート内容、本件申込について、問い合わせ先」が掲載されたページが出てきます。そのページの最後に「放射線教育サポートシステム ダウンロードページ」のボタンがあります。そこには、教職員向けガイドブックや生徒用ワークシートなどが載せられていると思うのですが、それを開くには、ID・パスワードが必要となっており、私たち部外者は見られないようになっています。「放射線教育サポートシステム」で、講師派遣によって講習会・実習を行う場合に提供されている教職員向けガイドブックや生徒用ワークシートなどは、一般には非公開なのです。非公開にしなければならない教材を、学校の授業に使うということが許されるのでしょうか。

 

5.関西原子力懇談会の実態

関西原子力懇談会HPのトップページには、「会長挨拶」「組織」「活動概要」(別紙)のボタンがあります。

「会長挨拶」では、関西原子力懇談会は、現会長が西原英晃氏で、1956年、(社)日本原子力産業会議(現在は(社)日本原子力産業協会)の関西地方組織として設立されたことがわかります。「活動概要」では、「原子力普及のため」のさまざまな活動が紹介されています。しかし、「組織」のページでは、理事会・会長・副会長・理事・事務局・顧問・参与・委員会などの組織図があるだけで、誰が役員か、どんな会社が会員か、すべて非公開です。当然、財政状況も公表されていません。いわば秘密組織ともいえるような団体なのです。そして、ほとんど関西電力の別組織のような団体といえます。事務所は、大阪科学技術センターの5階にありますが、建物の所有は関西電力、一般財団法人大阪科学技術センターの会長は関電副社長の生駒昌夫氏です。大阪科学技術センター12階の大阪科学技術館は入場無料。展示・エネルギーのコース「エネルギー・チャレンジ・ツアー エネッチャ!」の展示主体は、関西原子力懇談会・関西電力で、足でこぐと、大阪から大飯原発、高浜原発、美浜原発と画面が移動していくもの。そこには「大飯発電所34号機が再稼働しました。国、福井県、おおい町、ならびに各自治体の皆様に心から御礼申し上げます」と書いた関電のパンフが置いてあります。センターの3階以上は「一般人立ち入り禁止」。20126月の関電株主総会では、関西原子力懇談会への支出についての質問に対して、副社長の豊松秀巳氏が「関西原子力懇談会は原子力の平和利用の推進、原子力放射線の基礎知識の普及啓発、放射線取扱技術の養成やさまざまな調査研究活動を行う団体であり、当社は原子力懇談会の活動趣旨に賛同し、法人会員として応分の協力をしております。」と回答しています。関原懇が関電の別組織であることはほぼ間違いありません。

 

6.「放射線教育サポートシステム」の実態

以上のことから、「放射線知識普及連携プロジェクト」実施する「放射線教育サポートシステム」は、役員・会員・財政を公開していない関西電力の別組織・関西原子力懇談会が、放射線の健康影響を覆い隠し、原発推進の基盤を確保するために実施している教育介入事業であるといえます。

 

7.「放射線教育サポートシステム」反対の声を!

学校・教育委員会は、この「放射線教育サポートシステム」に便宜をはかったり、利用したりすることがあってはなりません。学校・教育委員会は、関西電力・関西原子力懇談会の教育介入に反対であることを表明し、事業中止を申し入れるべきです。それぞれの立場から声をあげていきましょう。

☆意見書についての見解表明のお願い(2012.10.18)

20121018日 

 

大阪市教育研究会理科部長

○○中学校長 ○○様

 

大阪市立○○中学校理科教員 ○○

 

意見書についての見解表明のお願い

 

 昨日の中学校教育研究会理科部研究発表会で意見表明をさせて頂きましてありがとうございました。

 

 昨日、参加者のみなさんには、1010日付で○○校長先生に送らせて頂きました「理科部役員のみなさまへ」と題する文書を配らせてもらいました。その中で、私は「放射線知識普及連携プロジェクトが実施している『放射線教育サポートシステム』に対して、大阪市中学校教育研究会理科部として、批判の立場を明らかにすべき」と意見表明しています。

 

 この意見書に対して、まだ、理科部役員会としての見解は示されていないように思います。全市研究会の前日、電話で、○○校長先生に検討状況をお聞きしたところ、「理科部役員会などで検討したというわけではないが、『いろんな意見を聞くという立場で、門戸を閉じることはしない方がよい』と(個人的に)判断している」というお答えだったように思います。17日の研究発表会の場でも、私の意見表明に対する理科部役員会としてのコメントはありませんでした。

 

私は、私の意見書に対する大阪市中学校教育研究会理科部役員会としての見解を、改めて求めます。特に、私は、「『放射線知識普及連携プロジェクト』の経費は、関西電力から出ており、『放射線教育サポートシステム』は関西電力の私的利益のための事業である」と認識していますが、この点についての理科部役員会の見解を求めます。

 

 どうぞよろしくご検討下さいますようお願いいたします。

☆大阪市中学校教育研究会理科部研究発表会への問題提起の報告(2012.10.17)

10.17大阪市中学校教育研究会理科部研究発表会への問題提起の報告(○○)

 

 私は、910日の2ブロック理科部研究発表会が、「放射線知識普及連携プロジェクト」(事務局:関西原子力懇談会)の「放射線教育サポートシステム」の「教職員セミナー」(講習会)として開かれたことに異議申し立てを行いました。2ブロック役員の方に、この持ち方に反対だという意向を伝え、910日当日には、関原懇と「プロジェクト」に対する質問、参加した理科教員に資料を配布して意見表明しました。その後、「プロジェクト」代表の近畿大学原子力研究所長伊藤哲夫氏への質問を通して、20116月に「放射線に関する基礎知識や正しい情報を伝えていくことを目的に設立」したという「放射線知識普及連携プロジェクト」が、運営も財源も全面的に関西原子力懇談会に依存した組織であることが明らかになりました。そして、関西原子力懇談会が役員も会員も、もちろん会計も公表していない得体のしれない秘密組織であり、市民や学校教育への宣伝工作のための関西電力の別組織と言ってもいい団体であることもわかってきました。

 

 1017日に大阪市全体の中学校理科部の研究発表会があるということなので、この機会に問題提起をしたいと思いました。この間分かったことをまとめて、「放射線知識普及連携プロジェクトが実施している『放射線教育サポートシステム』に対して、大阪市中学校教育研究会理科部として、批判の立場を明らかにすべき」という意見書(「理科部役員のみなさまへ」)をつくり、1010日に大阪市中学校教育研究会の理科部長・○○中学校長の○○氏に送付して、検討を要請しました。研究発表会前日、電話で、○○校長に意見書についての検討状況を聞きました。理科部役員会などで検討したというわけではなく、「いろんな意見を聞くという立場で、門戸を閉じることはしない方がよい」と理科部長として判断した(黙殺する)ということでした。私は、17日の研究発表会の場で、参加教員(理科部会員)に意見書を配布し、意見を言いたい旨を伝えました。

 

 17日に会場の○○中学校でもらった「研究発表会要項」には、日程が以下のように記載されていました。

 

Ⅰ 公開授業 13:4514:35(1・第2理科室)

Ⅱ 研究協議 14:5016:45(体育館)

 1.開会のことば

 2.理科部長あいさつ

 3.研究発表および研究協議

  (1) ○○中学校の理科教育と本日の公開授業について

  (2) テーマ①「教員自主研修会の成果と今後のあり方について」

    テーマ②「教員野外研修について」

  (3) 質疑応答

 4.連絡事項

  (1) 青少年のための科学の祭典

  (2) 生徒理科研究発表会報告

  (3) 各ブロック理科研究発表会報告

  (4) 理科部ホームページの活用

  (5) その他

 5.指導・講評

 6.閉会のことば

 

 ○○校長に会いに行き、どこで意見を言わせてもらえばいいか聞きました。Ⅱ3(3)の質疑応答のところしかないことがわかりました。体育館に意見書を置かせてもらって、参加のみなさんに意見書が渡っている状態で発言したいと思いました。公開授業が終わる少し前に体育館に行き、入り口にいすを置き、その上に意見書を置きましたが、直接手渡しの方が確実に渡せると思い、体育館に来られる先生一人ひとりに手渡ししました。130140人くらいの参加でしたが、ほぼ全員に渡せたと思います。

 

 「質疑応答」の時間に最初に挙手し、発言しました。福島第1原発事故から自分の立場・責任を問い返させられたこと、慣例に従ってではなく、自分たちのやっていることの意味を問い直す必要があること、放射能汚染の健康被害をめぐって、事実をきちんと見るのか、健康被害を覆い隠したい「原子力ムラ」の意向に沿って動くのかが問われていることを発言し、意見書について検討してほしいと言いました。司会から、「質疑は公開授業や研修についてなので、手短に」という注文が入りました。以降は、日程手順通りの進行で、私の意見についての見解表明もなく、「指導・講評」や「閉会のことば」でも、私の発言や意見書にだれもふれずに終わりました。(2ブロックの研究発表会報告の中で、経過が報告されただけです)

 

 今回は、とにかく大阪市の全学校の理科の先生に私が訴えている内容について知ってもらうことを目標にしていました。意見書を皆さんに配ることができ、発言もできたことで、ほぼ目標は達成できたと思います。しかし、中学校理科教育と「原子力ムラ」の関係は根深いものがあり、ちょっと問題提起したくらいではその状況が変わらないことも明らかになりました。今後、私の意見書に対する理科部役員会の見解を求めていきたいと思っています。「放射線教育サポートシステム」は関西電力のお金で運営されているという私の認識についてはどうなのか、理科部役員会の認識を問うなど、提起した問題点について具体的に回答を求め、中学校理科教育への「原子力ムラ」の介入をやめさせたいと思います。

☆大阪市中学校教育研究会理科部役員のみなさまへ(2012.10.10)

大阪市中学校教育研究会理科部役員のみなさまへ

 

20121010

 

大阪市立○○中学校理科教員 ○○

 

放射線知識普及連携プロジェクトが実施する「放射線教育サポートシステム」への対応についての意見

 

 私は、放射線知識普及連携プロジェクトが実施している「放射線教育サポートシステム」に対して、大阪市中学校教育研究会理科部として、批判の立場を明らかにすべきだと思っています。そのことについて意見を述べます。

 

「放射線教育サポートシステム」とは?

「放射線知識普及連携プロジェクト」(事務局:関西原子力懇談会)という団体が、「放射線教育サポートシステム」という中学校理科の「放射線の性質と利用」の学習をサポートする事業を行っています。8月下旬に中学校に送られてきた案内によると内容は以下のようになっています。

 

【サービス提供条件】

対象  :近畿24県および福井県の中学校教員

使用目的:授業、研修目的での使用を原則とする

費用  :「霧箱実験キット」以外の機材の提供、発送、講師派遣等は、放射線知識普及連携プロジェクトが負担

*今後の改善のために利用後、アンケートにご協力いただく。

 

【サポート内容】

①教職員向けガイドブック「生徒と一緒に考える放射線」の提供

②実習DVD「生徒と一緒に考える放射線(実習編)」、ワークシートの提供

③簡易放射線測定器の貸出(ガンマくん、ベータちゃん)

④ペルチェ型霧箱の貸出 ※1

⑤霧箱実験キットの提供(有料) ※1

⑥講師の派遣

⑦教職員向けセミナーの実施 ※2

⑧放射線解説DVDの貸出

⑨同システム利用者に対する技術的サポート

※1 「⑥講師派遣」との組み合わせが条件となります。

※2 教育委員会や学校単位等の公的な集まりで、一定人数が確保されることが条件となります。

 

<申込窓口>

放射線知識普及連携プロジェクト事務局

「放射線教育サポートシステム」担当 関西原子力懇談会 吉岡・荒木

5500004 大阪市西区靱本町184 大阪科学技術センタービル5階

       TEL0664413682  FAX0664413683

       E-Mailkyouiku.ss@kangenkon.org

 

中学校理科教員対象の講習会の内容

910日に、大阪市中学校教育研究会第2ブロック理科部の研究会が、この「放射線教育サポートシステム」の⑦「教職員向けセミナー」として行われました。その場には、「放射線知識普及連携プロジェクト事務局(放射線教育サポートシステム)西村健、船田浩志」名の「大阪市2ブロック理科教育研究会 放射線講習会」と題する進行レジュメが準備されていました。その内容を次に書き出します。(以下)

 

本日の次第

 

14:0015:00 講義「放射線の基礎と利用」

     講師:近畿大学 原子力研究所 講師 若林源一郎 氏

 

15:0016:15 実習

      ※霧箱工作・観察

      ※簡易放射線測定器(ベータちゃん)を使った実験

     講師:近畿大学 原子力研究所 講師 若林源一郎 氏

        関西原子力懇談会 西村 健

 

16:1516:30 教職員向け放射線ガイドブックの説明

     講師:近畿大学 原子力研究所 講師 若林源一郎 氏

        関西原子力懇談会 西村 健

 

16:3017:00 意見交換

      ※放射線教育に関する意見交換 など

 

【配布物】

  ◇放射線の基礎と利用(講義配布資料)

  ◇教職員向けガイドブック「生徒と一緒に考える放射線」1冊

  ◇同上付録:放射線教育ワークシート(学習指導案・ワークシート各2種)

  ◇「生徒と一緒に考える放射線」(実習編)DVD1枚とワークシート5枚

  ◇放射線教育サポートシステムの案内

(以上)

 

 参加費は、霧箱実験キット代の500円だけです。講義・実習の後、プログラムでは「教職員向けガイドブック説明」とあるところで、ガイドブック「生徒と一緒に考える放射線」の説明とともに、「放射線教育ワークシート(学習指導案・ワークシート各2種)」の説明がありました。「自然放射線が身の回りにはいっぱい存在していて、放射線は怖くない」「放射線は様々に利用されていて、有益なもの」「100mSv以下の低線量被ばくによるがんリスクは、喫煙・飲酒・運動不足より小さい」などを教えようとするものです。講習会の目的は、中学校理科教員にこういう授業をやらせることにあったと考えざるを得ません。

 

 この授業を誰が何のためにやらせたいのかという疑念が湧きました。講習会の初めに、関西原子力懇談会(関原懇)西村さんに、「放射線知識普及連携プロジェクト」と事務局である関西原子力懇談会について説明してほしいと要望しました。西村さんの方からは、「放射線知識普及連携プロジェクト」の説明(20113月の福島第1原発事故を契機に、関西地域の原子力関係の学会・大学・団体の有志が連携して、幅広い層に対し、放射線に関する疑問や不安に応えるとともに、放射線の基礎知識や正しい情報を伝えていくことを目的に20116月に設立。20118月~9月には、文部科学省と各府県市教育委員会の後援を得て、教職員対象「基礎から学ぶ放射線セミナー」を6府県8会場で主催した。)と講師・若林源一郎氏の紹介(昨年3月に九州大学から原子炉を持つ近畿大学に移った。放射線計測などが専門。「放射線知識普及連携プロジェクト」のパンフづくりをいっしょにやってもらった。)がされましたが、関西原子力懇談会の説明はありませんでした。そこで、再度、関原懇の紹介を求めました。西村さんからは、50数年前、日本原子力産業会議の支部としてできたことが説明されました。さらに、会員や役員はどこで見ることができるかと問うたことに対しての回答は、「会員・役員については公開していない」というものでした。

 

「放射線知識普及連携プロジェクト」の実態

「会員・役員については公開していない」という秘密組織ともいえるような関西原子力懇談会(関原懇)のかかわる講習会が、出張扱いの教育研究会の企画にふさわしいとは思えませんでした。「放射線知識普及連携プロジェクト」の実態とはどんなものか、お金がどこから出ているのかを明らかにしたいと思い、プロジェクト代表の近畿大学原子力研究所長伊藤哲夫氏に質問書を送り、やりとりしました。その経過は以下の通りです。

 

914日付の質問要旨】(FAXで送付)

1.近畿大学原子力研究所は関西原子力懇談会の会員ですか。あなた様(伊藤哲夫様)は、関西原子力懇談会の会員ですか。

2.「放射線教育サポートシステム」の構成メンバーと運営について教えて下さい。

3.910日の講師料等諸経費(「放射線教育サポートシステム」の必要経費)はどのように工面しているのですか。

 

926日付のFAXで送付された回答要旨】

ご質問にありました放射線教育サポートシステムのメンバー、運営等は、放射線教育サポートシステムを紹介するHPに掲載予定であり、それを参考にしてください。

なお、私は、関西原子力懇談会の活動趣旨に賛同し、会員となっている。

PJの必要経費については、会員等による経費でまかなっている。

 

927日付でFAX送付した再質問要旨】

再質問の第1は、この「放射線教育サポートシステム」の運営主体は何かということ、すなわち、「放射線知識普及連携PJ」の実態についてです。回答では、「放射線知識普及連携PJ」は「関西地域の有志により発足した団体」とあり、個人会員による団体と読めるのですが、では、事務局が「関西原子力懇談会」という団体であるのはどういうことでしょう。PJの代表である伊藤哲夫様は関原懇の会員であるということですが、もし、他のメンバーもほとんどが関原懇の会員であるなら、有志が個人として作ったというより、関原懇がつくったということになるのではないかと思うのですが、その点についてはどうでしょうか。

関連しますが、再質問の第2は、「放射線教育サポートシステムのメンバー、運営等は、放射線教育サポートシステムを紹介するHPに掲載予定」となっていますが、それは、どこのホームページに載るのかということです。今、現在、「放射線知識普及連携プロジェクト」のホームページはないと聞いています。インターネットで、「放射線知識普及連携プロジェクト」で検索すると、出てくるのは、「Kan Gen Kon News 20118月号」に代表伊藤様の プロジェクト始動にあたってのあいさつが出てくるくらいです。「放射線知識普及連携プロジェクト」のホームページが作られて、そこに載るのか、関原懇のホームページに載るのか、どちらですか。

再質問の第3は、「放射線教育サポートシステム」のお金の出所についてです。回答では「PJの必要経費については、会員等による経費でまかなっている」とのことですが、「会員等の経費」というのがよくわかりません。「会員等」というのは会員以外からもお金が出ているのですか。「関西原子力懇談会」からもお金が出ているということですか。「経費」というのは何ですか。普通、有志が何かの会を作ると、会費を集め、必要経費は会費から出します。「放射線知識普及連携プロジェクト」には会費があるのですか。「関原懇」には、「会費」がないと聞いています。「関原懇」の個人会員はお金を出さず、「関原懇」の活動経費は、関西電力などの企業が出しているのだと理解しています。要するに、「放射線教育サポートシステム」の必要経費は、関西電力(など)から出ているのではないかという疑念が消えません。

 

929日の電話による回答要旨】(○○が理解した内容)

1.発足は、平成246月ではなく、平成236月である。

2.原子力関係の学会、大学、団体の有志で、多くの人に放射線の基礎知識、正しい知識、情報を伝えたいと思ってつくった。現場の先生からの要望もあった。プロジェクトの仲間には、関原懇の会員もいるし、会員にまでなっていない人もいる。原子力に関わる研究者は多くなく、もともと関原懇とともにやってきていた。それで、関原懇が事務局になっている。「原子力ムラ」といわれればそうかもしれないが、専門家といわれる人はみんなそうで、「ムラ」と否定的に呼ばれるのは、…(抵抗感がある)。原発に関わる問題にはふれず、放射線にかかわる基礎知識を普及したいと思っており、また、講演内容等もそういうもの(中立的なもの)にしている。足が出ないようにはしたいが(交通費程度はいただくが)、みんな半分ボランティアでやっている。

3.放射線サポートシステムのメンバー、運営等を載せる放射線教育サポートシステム紹介のホームページは、関原懇ホームページからリンクする形になると思う。(関原懇にそう頼んだ)

4.運営経費の詳細を公表するものではないと思う。研究者でプロジェクトの経費を賄えないので、当然、関原懇(企業等)から出ている。

 

 以上のやりとりから、「放射線知識普及連携プロジェクト」は運営・財政ともに関西原子力懇談会(関原懇)に全面的に依存した組織であることが明らかになったと思います。そして、関原懇は、50いくつの原子力関連企業・研究機関と趣旨に賛同する個人会員(「会費はない」:関原懇西村氏による)からなる、1956年に日本原子力産業会議の支部として出発した組織で、「役員・会員は公表していない」、当然、財政状況も公表していない、いわば秘密組織です。そして、ほとんど関西電力の別組織のような団体です。事務所は、大阪科学技術センターの5階にありますが、建物の所有は関西電力、一般財団法人大阪科学技術センターの会長は関電副社長の生駒昌夫氏です。大阪科学技術センター12階の大阪科学技術館は入場無料。展示・エネルギーのコース「エネルギー・チャレンジ・ツアー エネッチャ!」の展示主体は、関西原子力懇談会・関西電力で、足でこぐと、大阪から大飯原発、高浜原発、美浜原発と画面が移動していくもの。そこには「大飯発電所34号機が再稼働しました。国、福井県、おおい町、ならびに各自治体の皆様に心から御礼申し上げます」と書いた関電のパンフが置いてあります。センターの3階以上は「一般人立ち入り禁止」。20126月の関電株主総会では、関西原子力懇談会への支出についての質問に対して、副社長の豊松秀巳氏が「関西原子力懇談会は原子力の平和利用の推進、原子力放射線の基礎知識の普及啓発、放射線取扱技術の養成やさまざまな調査研究活動を行う団体であり、当社は原子力懇談会の活動趣旨に賛同し、法人会員として応分の協力をしております。」と回答しています。関原懇が関電の別組織であることはほぼ間違いありません。

 

「放射線知識普及連携プロジェクト」実施する「放射線教育サポートシステム」は、役員・会員・財政を公開していない関電の別組織・関西原子力懇談会が、放射線の健康影響を覆い隠し、原発推進の基盤を確保するために実施している教育介入事業である考えざるを得ません。福島県民の健康管理調査における甲状腺異常の隠ぺいなど、今、「原子力ムラ」は、放射能汚染による健康被害の隠ぺいに躍起となっています。教育がその動きに手を貸すことがあってはならないと思います。

 

教育研究会は、関電(関原懇)の教育介入事業「放射線教育サポートシステム」に反対の立場を明らかにすべきです!

 福島第1原発事故以降、安全神話がつくられてきた背景に対する追及も行われるようになりました。原子力規制の側・安全審査等を行う学者の人達が、ほんとうに、原発推進の電力会社などの影響から離れて独立した判断をしているのかどうかに関心が集まるようになっています。原発推進に利益を見出す電力会社を中心とした利益共同体が「原子力ムラ」と呼ばれるようになり、その私的な利益のために、嘘の宣伝がなされ、一般の人々が犠牲にされているのではないかという疑念が広がっているからです。私達学校教育に携わる者もそのような視線の中にあります。

「放射線サポートシステム」は、関西電力が、企業利益のために、多額のお金をかけて実施している教育介入の事業だと思います。大阪市中学校教育研究会理科部として、「放射線サポートシステム」反対の立場を表明し、それを教育現場に持ち込ませないようにすべきだと思います。ぜひ、この意見につてご検討いただくよう、よろしくお願いいたします。

 

<資料>

【放射能汚染の健康影響を巡る問題】

 福島第1原発事故による放射能汚染の健康影響を巡って、現実をきちんと見るのか、心配しすぎる方が問題だと無理矢理隠すのか、それを巡る綱引きが行われています。福島では、子どもたちの甲状腺検査が行われていますが、36万人の対象者のうち、約8万人の結果が911日に明らかにされました。何らかののう胞・結節があった子どもが、2011年度35.3%、2012年度43.1%、2次検査が必要とされた子どもが425人で、そのうちの60人が2次検査を受け、38人の結果が判明した段階で、1人が甲状腺がんと判断されました。小児甲状腺がんは、100万人に1~2人の頻度と言われていたのに、この結果は明らかに放射能汚染ではないかと疑われます。チェルノブイリ原発事故では、「甲状腺がんが出て来たのは4年後」などの言い方がされることがありますが、激増したのが4年後であって、1年目から甲状腺がんは増えていたのです。

 福島県当局と山下俊一氏など放射能の健康影響を隠したい人達は、公開の福島県民健康管理調査検討委員会の前に秘密の「準備会」を開いて、「発見された甲状腺がんは放射能汚染の影響ではない」とする見解のすりあわせを行い、検討会の進行表まで用意していたことが明らかになっています。電力会社・原子力ムラと結びついたこれらの人達の安全宣伝には、多くの人達が疑いの気持ちを持っています。「1/80000のような書き方だが、見つかったのは、1/38である。甲状腺がんは、がんの中ではたちのよいがんで、手術をして腫瘍を取り除けば問題ないといわれているが、チェルノブイリの小児の場合、6人に1人が肺に転移した。」このような批判があふれています。そのような中で、関西原子力懇談会(関西電力)の安全宣伝の受け売りをしていいのかどうかが問われていると思います。

 

検討委員会に提出された甲状腺検査についての資料は以下。

●チェルノブイリ後の放射線影響による健康被害…ベラルーシ,ウクライナ,ロシア.欧州内の4人のドイツ物理学者による論文発表.2006年4月)より

内容は、以下のようにまとめられよう。放射性セシウムを経口摂取しないのは当然として、吸い込んでも以下のメカニズムで死ぬ。全身の血液循環動態を悪くする以上、放射能は万病の元だ。医学関係者なら、加速度脈波という言葉を知っているだろう―健康な若者でも、加速度脈波の波形がE波やF波になってしまい長生きできない。まさに、セシウムは老化促進剤・寿命縮減剤だ。現在、twitterで報告される心筋梗塞激増の背景がこれだ。食べ物に気をつけていても、吸い込んだらアウト。東日本から西日本or北海道への移住がベスト。 放射性セシウムを吸い込むと肺から血液中へ即座に移行する。」